2013年2月28日木曜日

NEX-3N 発表とRX-1

http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/201302/13-0225/

もう二三日前の話ですが、 NEX-3N が発表されたようです。
有効解像度は NEX-6 に迫る勢いですが、トータルではややカジュアルな性能でしょうか。
位相差センサーや OLED ファインダー, WiFi などと先進的な機能を多く取り込んだ NEX-6 とは対極的に、枯れた機能のみで性能をあげてニッチなところを狙った製品だと思います。

光学的には、既発売の NEX-6 とフォーカスシステムが違います。
NEX-6 が位相差センサーによるハイブリッド AF を備えるのに対し、 NEX-3N は伝統的なコントラスト AF のみを備えています。
ですので、位相差センサーが撮像センサーの前にないぶん、光学的な利得は NEX-6  より有利かも知れません。
(もちろんそのぶん AF は遅く、暗い場合など精度もいまいち満足がいかないかも知れませんが)

しかし NEX-3N が優れているのは、その液晶モニターでしょうか。
今までも、 NEX の液晶モニターはチルト式で、若干手前に引き出すことで上下に傾けることができました。
NEX-3N ではなんとこれを180度ハネ上げ、更に回転させて自画撮りモードにすることができます。
自画撮りできる本格的なカメラはあまりなく、しかもスマートフォンの台頭で既に死語になっている気がしますが、気軽な記念撮影、スナップなどで一定以上の需要はあると思います。

さらに、 NEX-3N のリモート端子はアルファシリーズと互換性があり、リモコンやレリーズも多彩なアクセサリを使用できます。
これらを組み合わせてたとえば三脚を使った自画撮りという応用もできるわけです。——まぁ、普通の人にはそこまでする意味ないかも知れませんが。
そう、例えばコスプレ会場で友達とはぐれてしまったそこのアナタとか!!

あと地味に注目なのは同時発売の新しい E マウントレンズです。
E 20mm F2.8 (SEL20F28) は薄型のパンケーキレンズで、おそらく(ゴミレンズとして有名な) E 16mm F2.8 の後継となるものでしょう。
(高名なゴミレンズである) E16mm F2.8 は、 NEX-7 の高度な光学補正によってそこそこ観れる絵になってしまうので、ゴミレンズとしてはややパンチに欠けるものになってしまうのですが、全てのクラスの本体にそのような光学補正が備わっているわけではありません。
この新しいパンケーキは NEX-5/3 などのエントリークラスのボディでも、機動性を失うことなく、"使える"広角の画を提供してくれるのではないかと期待しています。

あと 16mm の画は広角で、結構扱いが難しいなと思うことがしばしばありました。
撮るときは楽でいいのですが、後でまとめて観てみると、画角が広過ぎていまいちテーマの解り難い写真が多いなーと感じます。
20mm なら 35mm 換算で 30mm 程度になりますので、自然な画が得られるのではないでしょうか。


あとサンプルの一枚もなくて恐縮ですが、ある縁で RX-1 を触らせてもらう機会がありました。
RX-1 はフルサイズセンサーを搭載した小型のボディに Zeiss のレンズをかっちりと組み合わせた良い意味で変態過ぎてドン引きする Cyber-Shot です。
NEX-7 + Zeiss よりも安く、小さく、軽く、見た目もクラシカルなライカ風。
なによりこの大きさでフルサイズセンサーです。
仕上がりはごく自然で美しく、「ああ、写真らしい写真だなぁ」とため息が出ます。

見た目がクラシカルなのも「ザ・カメラ」という感じですし、人によるのでしょうが、敢えてレンズの交換できないカメラというのも変な安心感があります。
被写体と向き合うという点では単焦点のほうがストイックさがありませんか?
いや、もちろん被写体が遠くにいたらダメなんですけども。
ズームもないのでいわゆるコンデジとは比較できませんが、例えば GR-Digital2 のような単焦点のカメラと同様です。
でもグリップがないので手に持って操作するのがちょっと怖い。そういう意味では、安心感はあくまで見た目の話です。

もちろん難点がないわけではありません。
ファインダーが別売りなのと、操作系、そしてバッテリーのもちが極端に悪いことです。
ちょっと弄っているとあっという間に半分ほどになっていたので、恐らく普通のデジカメの半分ももたないでしょう。
連続撮影枚数200枚程度と言われました。
ただ、「バッテリーがもたない」とは昨今の携帯の印象だと絶望的に聞こえますが、カメラの場合はバッテリーがハメ殺しというわけではなく、互換のバッテリーはいくらでも入手可能、準備可能です。
ですからこれは致命的欠点とは言えないかなーと思っています。

ファインダーは別売りですが、標準で付いている液晶ディスプレイは、なんだかやたらにフレームレートが高いというか、ちょっと特筆すべきものがありました。
妙にぬるぬる動くんですよね。本体にもレンズにも手ぶれ補正は入っていないのですが、ディスプレイだけみているとステディカムのように安定しつつ、応答性も非常に高いです。
何なのでしょうかね。気になります。
もっともディスプレイは液晶で、奇麗ですが色温度がちょっと(5-600Kくらい)高めの印象です。
ファインダーで確認したほうが自然な色温度に見えるので、やっぱりあったほうがいいでしょうか。

操作系は NEX-7 に圧倒的な有利さがあります。
RX-1 はいちおう Cyber-Shot なためか、一生使わなさそうなシーン選択ダイヤルがついていて、邪魔です。
ダイヤルが固かったのも気になりました。
ファインダーが別売りなせいか、 NEX-7 のようにファインダー覗きながら全部設定できるんだぜという拘りが見られません。

一方でマニュアルフォーカス時に距離がディスプレイされるようになったのは進歩でしょうか。
(GR-Digital なんかにはずっと前からあるんですけど)
いやー、それはそれでないよりマシなんだけどさー、どっちかっていうとレンズ側にちゃんとインデックス付けて欲しいな…。

さて RX-1 と NEX-7 + Zeiss とを比べてみると、 NEX-7 + Zeiss は充分戦えるという結論に至りました。
(もちろんボケ具合とかは絵全体の開放感という意味では、 APS-C にとってフルサイズに勝ち目などないのですが)
マウントを廃してかっちりと最適化した光学系がどれほど影響するか、それが気になっていたのですが、試した範囲ではあまり大きな影響はないもよう。
いえ、むしろ絵を犠牲にせずにあそこまで小型化したというのが即ち、しっかり最適化されたという意味なのだと思いました。

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